「法律でこの文書は作成し保管が義務付けられています。」この言葉をこれまでに何回聞いたことでしょうか? 機密文書に係わる者にとってはマントラのようなものですが、言われていることは実に曖昧です。
文書管理の規制と法に関する誤解をまとめました。文書管理方針とプロセスを決める前に、参考にしてください。
11の文書管理の規制と法に関する誤解ありふれた誤解
1) 全部7年間保存
ある機密文書にとってはそのようですが、その他殆どに関してはこれが適用するとは言えません。事実、米国のIRSはすべての税金関係の書類に7年間の保存を要求してはおりません。
2) 組織は必ず紙文書を保管しなくてはならない
文書が適切な規則や法の下で作成され処理されたものならば、PCで作成された電子文書やスキャンによって電子化された文書は正式文書として多くの国で認められております。 但し電子文書作成または紙文書の電子化ならびに機密保護のプロセスには必ず規定を設けなければなりません。
3)署名は直筆
多くの国では適切な規則や法律の下、e-signature (電子サイン) が認められております。多くの国の裁判所では署名文書のコピーやスキャン画像も正式文書として認められております。
4) 電子文書が紙文書に取って代わることはない
文書が適切な規則や法の下で作成され処理されたものならば、PCで作成された電子文書やスキャンによって電子化された文書は正式文書として多くの国で認められております。
5) 全保管がルール
そのような規定は存在しません。
6) 文書は手元に置く
或る文書はオフィスに持っていなければならないかも知れませんが、それほど多量ではないはずです。逆に或る国々では規定された基準と手順に準拠するため遠隔地での保管が要求されています。 但し機密文書の遠隔地保管の手順は必ず規定を設けなければなりません。
7) 部外者が組織内の文書を見ることなど不可能である
民事ならびに一般裁判においては組織や個人に対して強制的に証拠としての文書の提出を要求することができます。
8) 個人所有の文書はビジネス文書とは見なさない
もし文書の内容がビジネスに係るものなら、それは個人文書ではありません。自宅に置いてあっても、それはビジネス文書です。
9) それはアメリカ国内だけの話
アメリカの裁判所は海外で保管されている文書の提示を求めることが出来ます。 または証拠開示要求に応じるために文書作成を要求することも出来ます。
10) 必要になった場合を考えてすべて取って置く
それがあまつさえ電子文書であっても、全ての文書を保管することは保管スペース、費用、管理の観点から実行不可能であります。どこまでが 「全ての文書」なのかを明確することは至難です。 そのような全てを取って置くという方針は始めて最初の月で破綻するはずです。そして具体的に何が「全ての文書」なのかという混乱を招くことになるでしょう。
11) 秘匿特権によりすべての文書は守られている
秘匿特権とは法的手続きにおける弁護人とクライアント間のやり取り全般を保護するという慣習法の考えですが、秘匿特権では決して組織のすべての文書が保護されているではございません。
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